STEM教育においては,S:科学,T:テクノロジー,E:エンジニアリング,M:数学の統合(Integration)が想定されています.この際,Tを技術,Eを工学と訳すことも考えられ,日本で見られる多くの情報も,そのようになっています.が,しかし.その定義を見てみると,日本語でいう技術や工学とはずいぶん違います.そのため,私達界隈では,それぞれカタカナで表記することにしています.
STEMにおけるテクノロジー・エンジニアリングの定義とは?
実際にその定義を見てみると…
テクノロジー:人間の要望と欲求を満たすために天然物 から作られた生成物等のこと.
NGSS
エンジニアリング:人間の要望と欲求を満たすために物体・プロセス・システムのデザインをするための秩序だった,また繰り返される取り組みのこと.
NGSS
テクノロジーは,モノ・アイデア・プロセス・システムなども含まれる,人間の作ったもの:Artifact.
エンジニアリングは,それを作るための”繰り返される”取り組みのこと.
どうでしょう?中学校の時間でおなじみの,「技術」の時間に関係しそうな部分もあれば,そうでない部分もあります.また,テクノロジーの要素を入れてくるのに重要な,その課題を意識するなどの状況は,特定の先生が意識してやっていなければ,なかなか技術の時間には見られない要素ではないでしょうか.
定義が変わるとすると,教師はそれを十分教えられるか?
実際,学生にSTEMの授業をつくってもらって,それを十分に教えることができたかと振り返りをしてもらったデータがあります.
観点1:テクノロジーの役割や社会におけるその問題点を認識していた
観点2:エンジニアリングとしての課題とその障害を理解していた
観点3:科学と数学を課題の解決のために利用していた
これらを見てもらうと,確かに観点1について落ちていることがわかります.STEMを統合するとして,これまでの学校教育で扱ってこなかったエンジニアリングの導入はもちろん課題なのですが,同時にテクノロジーをどう扱うのかというのは,日本の先生方にとって課題であると考えられますし,この研究のように将来先生になる教育学部の学生にとっても課題となっています,
まとめ
STEM教育には,こうした課題が必ずあるはず.
その課題に向き合って解決していきたい.