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構成概念とは

 

 「構成概念とは,共変動する振舞い(Behaviors:行動・態度とも)の集合(Cluster)に付けられたラベルのことを指す.このラベリングは,実質的には無限にある振舞いを少数のラベルのシステムとして還元し,情報の交換を単純化し効率的に行い,また振舞いにおける規則性の発見過程を促す」(Binning and Barrett, 1989).この意味で,科学とは構成概念のネットワーク形成と,その構造内での相互作用と関係性の把握である.
 人間は様々な事象を経験し,事象間の類似性や相違性を認知し,現象についての概念あるいは構成概念を形成し,これらの構成概念にもとづいて事象を予測しようとする.すなわち,人間は自分なりの構成概念を使用して外界を認知し,そして構成概念を使用するという点では同じ心理的過程をたどると考えられる(若林,1992).これは,学習者を一科学者として見る文脈(例えば Bruner,1961; Yager,1989)と同様,全ての人間は科学者である(Kelly,1955)と見るならば,「人間は単に環境に対して反応するものではなく,むしろ環境を自分なりに解釈する能力を持っていることを示唆する.科学者が理論的な仮説を展開することができるように,人間は自分の環境を解釈し,再構成することができる」(若林, 1992)と見ることができよう.ある主体にとって,構造とは即ち構成概念のネットワークのことに他ならない(齊藤,2021).

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