Practice6 解決策を構築する:Desing a Solution

ここでは解決策の構築について書いています。ここで,「デザイン」というキーワードが出てきます。おそらく,高校までの学習には出てこなかった単語だと思いますので,このページではその定義から始めて,具体的な内容,そして各自の活動への応用というように考えてみることにしましょう。

デザインとは

辞書をみてみると

1 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。「都市を—する」「制服を—する」「インテリア—」
2 図案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具に—を施す」「商標を—する」
3 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活を—する」

デジタル大辞泉

というようになっています。ほとんどの方が,1番の定義をイメージされると思います。しかし,もっと広げて考えてみると,2の図案や模様などだけでなく,3のように快適な生活というように,より広い意味でテクノロジーを立案・設計することというように捉えることができるでしょう。テクノロジーとは何かというのは,別のページで説明しておりますが,このテクノロジーの定義からすれば「解決策」もひとつのテクノロジーであって,それを立案・設計・構築することにデザインは関わってきます。そこで,本講義ではデザインを以下のように定義しています。

デザインとは「社会生態系のニーズに合わせて解決策を構築すること」

それでは,これに基づいて,以下具体的な活動を見ていきましょう。

ステップ1
「活動」をつくりだした基礎となる「ニーズ」を整理してみること

さて、Practice1課題を明確にする段階で人間の「活動」について、調べてきましたが、どこまで調べるべきかと言われると、「どこまでも」というのが答えになってしまって、なかなか先へ進めません。

そこで、一つのマイルストーンを設けるとすれば「ニーズ」が把握できていて、それを人に説明できるか。というのが、指標になります。

ニーズ(Needs)とは必要性や要求・要望のこと。似たような言葉でデマンド(Demand)があります。需要ですね。このニーズの話は、別ページ「技術の本質」の話ともつながっていますので、そちらもご参照ください。

1-1「内部」のニーズを把握する

あなたが着目した、その「活動」はどのような「内部」のニーズやデマンドに基づいて、つくられ始めたのかが把握できたでしょうか?もし、分かったら①それを言語化してみましょう。逆に、まだ分かっていなかったら、②「ニーズ」というキーワードを入れて、「活動」について調べなおしてみましょう。

それでも、情報が見つかってこない場合、③一度自分でもっと原始的なところから考え直してみるのもよいかもしれません。

なぜ燃料というものを燃やす活動が必要なのか、これを「何のために」という疑問に置き換えて考えてみると

  • 生肉を加熱して食べたい(より長持ちするようにしたい)
  • 身体を温めたい(冬季を生きながらえたい)
  • 汁物を加熱して食べたい

などのニーズが考えられます
少し時代が下れば

  • 部屋を明るくして本が読みたい
  • 連絡手段として狼煙を上げたい
  • (蒸気を沸かして)大きな機械を動かしたい

などのニーズもあったかもしれません。これらのニーズを考えるには、少し知識が必要かもしれませんが、問題と課題の間をつなぐ重要なポイントなので、必ず1つ以上は見出せるようにしましょう。

1-2「外部」のニーズを整理してみる

一方で、「外部」の側からしたら、その「活動」の影響によって何らかの基盤となるニーズが脅かされる事態になっているはずです(だから問題なのです)。

今の燃料の例では二酸化炭素が排出されることによる影響全般によって「外部」のニーズが脅かされているということになります。これも、影響を受ける対象を大きな規模から小さな規模まで見てみると、色々な場合が考えられます。規模が大きな方からまとめると

  • 気候が変動する
  • 大気中の二酸化炭素濃度が上がる
  • 二酸化炭素が赤外線を吸収・再放射する
  • 海の温度・酸性度が上がる
  • 気象の振れ幅が大きくなる→人間社会
  • 地表の気温が上がる→人間社会
  • 気温条件が生物群系を保つ植物生態系に合わなくなる→生態系
  • 各生態系に生きる動物を支える食物連鎖が成立しなくなる→生態系

これらの影響は、最早人間(内部)の意志とは関係なく動いています。私たちが別にそうしようとした訳ではないのに、そうなってしまっている。まさに、問題です。これらの影響から起こるニーズを言語化するためには、自然を人格化して捉えると分かりやすくなります。

ここまでの例でいえば、A人間社会B生態系が「外部」にあたります。これら「活動」の対象が持つニーズを考えるときには、対象ごとに影響を具体的に考える必要があります。一例として、気象の振れ幅の話と、気温条件の話に整理してみましょう。ここでも規模を小さく、より具体的な段階に降りていくために、ワンクッション置いてみましょう。

  • 気候の変化による災害で脅かされる、A社会生活を維持したい
  • 気候の変動によって脅かされる、B生息地を維持したい

ここでいうA社会生活やB生息地にはそれぞれ基本となるニーズがあるはずです。そのうち、何が脅かされているでしょうか?

Aについて
社会生活では、局地的な降雨が増えることで、家が水没する、土砂に埋まる、電車が止まる、熱中症になる危険が増えるなどなどが起きており、これを「避けたい」というニーズがあるでしょう

Bについて
生息地では、周りの気象条件が変わることで、食糧となる植物がうまく育たなくなる、食糧が減ってしまう、同じ種で食糧を競争する、他の種と生息域がかぶってしまうようになる、生息可能な範囲への移動が間に合わなくなる、などのことが起こり得るので、これを「避けたい」というのが、生き物の世界の道理ということになりましょうか

ちょっと脱線しますが、年間の降水量としては大きく増えている訳ではないようですが、2010年以降は少し降雨量が多い時期にあったようです(気象庁)。降水量そのものよりも、それが局地的・短時間で降ることが問題というように、理解を整理しておきましょう。

さて、それはさておき、続きです。

ステップ2
「内部」「外部」のニーズを合成する

ここまで見てくると、「内部」と「外部」では随分違うニーズ、つまり生きる原理みたいなものが違うことが分かります。この内部と外部のニーズの相違が問題の根本にあるとしたら、「活動」をつくっているニーズを「内部」だけに頼るのではなく、「外部」のニーズをもくみ取った新しいニーズを合成していくことは、自然のシステム+社会のシステム=社会生態系の問題の解決につながります。

このとき、合成の仕方としてはいくつか考えられます

  • 「内部」を優先し「外部」を疎かにする
  • 「外部」を優先し「内部」を疎かにする
  • 「内部」も「外部」もニーズを控える
  • 「内部」のニーズにも「外部」のニーズにも応える

しかし、この場合どちらかのニーズを疎かにすることは通常考えにくいことです。どちらも、まさに生存目的の一部として、あるいは生存競争の一部として、そのニーズを持っている訳ですから、通常それは死を意味します。人間社会の中では自然界と違って、そこまでの被害はないでしょうが、あらゆる形でのダメージとなるでしょう。例えば、金銭的損失や、健康被害なども考えられます。

そこで、ニーズの合成ということになる訳です。ここまでの例を使ってまた考えてみましょう。

  • 部屋を明るくして本を読みたい(内部)
  • 気候変動によって脅かされる生息地を維持したい(外部)
  • →気候変動に影響を及ぼさない方法で、部屋を明るくして本を読みたい

この両方を満たすに合成されたニーズは、「活動」をどのように変えるでしょうか。つまり、「二酸化炭素がほとんど排出されない形で、部屋を明るくする」ということです。

ステップ3
合成したニーズに基づいて考えられる解決策を想定し,それをつくることを課題とする

さて,ニーズが合成できたところで,そこから課題を見出すわけですが。課題が十分小さく,解決可能になっているということは,課題解決=解決策という実行可能なレベルになっているということを意味します。

先のニーズ合成の終わりに見えてきた
「二酸化炭素がほとんど排出されない形で、部屋を明るくする」ことが,ここでは課題につながります。

ここからは,「何」によって,これを解決するかによりますが
「『何』によって,二酸化炭素がほとんど排出されない形で、部屋を明るくすること」
が課題として定義できます

このとき『何』かが解決策となるわけですが,解決策の構築その他のPracticeを通じて為されるものでしょうから,他のPracticeに進んでみてください

各自の活動への応用

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