疑問をもつのは何のためか
科学を含めて私たち人間がつくってきたものは、疑問から始まっています
このページや、関連する動画などは、以下のような疑問に基づいています
- どうしたら、複数の人が一度に同じ内容を学ぶことができるのか
- どうしたら、一度で分からなかった人が自分で学びなおす機会を提供できるのか
- どういう順番で提供したら、一つ一つのPracticeについて、理解を積み上げていけるか
これらは一例ですが、そのほかにもいろいろなものが疑問に基づいていることが分かります。
- どうしたら、遠くまでここの映像を届けられるか→動画ファイル
- どうしたら、文字を記録しておくことができるか→Wordなど
疑問をもつことは、すべての探究の始まりでもあると同時に、探究そのものでもあります。だから、初めは「疑問なんかない」と思うより前に、興味のあることを調べ始めるのが先決です
そのうえで、疑問に思うことがあれば、書き留めていく習慣をもつこと。それが、この項目でのすべての始まりであるもしあなたがこれまでの人生で疑問なんかもったことのない人だったら、次に挙げるような方法は、もしかしたら役に立つかもしれません
それは、実はこれまでに何らかの教科の授業で習ってきたことでクリアできます。以下のステップ1でまずはそれを体感してみましょう
ステップ1
新しく知り得たことは何でも疑問文にしてみる
これまでに疑問なんか考えたことないという人は、まずはここから初めてみるとよいでしょう。まずは目に映ることを、疑問の形に変えてみるのです
例えば
今目に見えている文字の色は黒色だと思いますが、それを受けて
「なぜこの文字の色は黒いのか」
というように疑問文を作ってみます
このような疑問文ができるには
「この文字の色は黒い」という文がまずできて、それを疑問文にするという段階があります
ということは、まず目に見えていることを文字で表すことが必要です
つまり、皆さんがこれから探究の過程で「見つけたこと」を「文字で表す」ということですね
そしたら、それを疑問文にしてみましょう
ステップ2
色んな疑問文にしてみましょう
見つけたことからつくった文は、いろいろな疑問文に変えることができます
同じ例で言えば
「この文字は黒い」を疑問文にしていくと
- なぜ、この文字は黒いのか
- どうやって、この文字を黒くしたのか
- 誰が、この文字を黒くしたのか
- 何が、この文字を黒くしているのか
- どこに、この文字を黒くする要素があるのか
- いつ、この文字は黒くなったのか
このように5W 1Hを考えるだけでも、探究の幅は広がります
何かを理解するということは、このように同じことをいろいろな角度で問うてみて、その答えを見出すことだとも言えます
ステップ3
本当に知りたいことに答えるための問いを選択する
さて、いろいろな問いを考えてみることができるようになったら、そろそろ気づく筈ですが、自分が本当に知りたいことは、そのなかのたった一つであるということです
はじめから、その問いにたどりつけるなら良いのですが、残念ながらそんなに私たちの思考というのは効率がよくなくて、他の問いに答えているうちに「まだ」答えきれていない問いに突き当たったりして、それがとても良い問いだったということもあるわけです
したがって、どの問いがいいのかな?とあれこれ考えてみるのにも意味がありますし、その間にモンモンとするのにも、それなりに意味があります
一方で、その時間にもっと調べてみれば、誰かが既にその答えを示してくれているということもあるでしょう。そしたら、その疑問は解決ということになりますから、あなたにとっての優先順位はその答えを理解することに入れ替わります
ステップ4
解ける問いと解けない問いを区別する
ここまでいくつかの問いをつくりだす方法を学んできました。問いにはいくつもの種類があることも、同時に分かってきたことと思います。
これらの幾つもの問いの中には、答えがある問いと、答えがない問いと、答えがいくつもあり得る問いがあります。
同じ例で続けて考えてみましょう
- なぜ、この文字は黒いのか
この問いにはいくつもの可能性があります。例えば、このページの作者は黒い文字が好きだったかもしれないし、何も考えずに普通に白のバックと黒い文字を選んだだけかもしれません。また、黒い色に思い入れがあるかもしれません。この問いにはいくつもの答えががあり得ます。何なら、つくっている側も決めていなかったかもしれません。
- どうやって、この文字を黒くしたのか
少なくとも、この文字が黒いのには具体的な答えがあります。それは、このページを表示させるコードを著者が指定しているからです。インターネット上の文字を黒くする方法はいくつかあるのですが、少なくともこの文字を黒くしている方法は一つ選ばれて表示がされています。これについては、答えを示すことができます。
- 誰が、この文字を黒くしたのか
これも、答えが決まる問いです。基本的に誰かが黒くするという選択をしなければ、この文字は黒くなりません。ただ、世の中には誰が決めたかが分からなかったり、分からないようにされていたり、分からない方がいい場面もあったりします。その場合は、この問いは答えがある問いではなくなったりしますので、重要性が変わってくることもあります。
- 何が、この文字を黒くしているのか
この問いの場合、どうやって黒くしているのかとほとんど答えが変わらない問いになります。一方で、あなたの目に映る黒を作っている主体は、コード以外にも色々考えられます。スマホで見ているなら、スクリーンを作っている素子かもしれませんし、それをオンに「しない」コンピュータ上の指令かもしれません。これについても、場面によって答えは変わってくるでしょうが、場面ごとに答えがより具体的になってきて、楽しめる問いの一つです。
- どこに、この文字を黒くする要素があるのか
この問いも、どうやって、や、何が、という問いと答えかぶってきますが、それは答えに当たる部分が分かったうえでの理解なので、調査する段階では、どこがどう被っているかは分からない筈です。では、その要素はどこにあるのかと考えると、スクリーン上なのかもしれないし、それをオフにするコードなのかもしれない。これについても、いろいろと調べようが出てきますが、場面によって明確に決まるはずの問いです。
- いつ、この文字は黒くなったのか
いつという問いに答えるには、ものごとが起きているタイムラインをイメージする必要があります。このページをつくった誰かが黒くしようとして、その指令をコンピューターが分かるように書いて、それがインターネットを通じてあなたのパソコンに届き、画面の表示を変えている、というような、時間の流れです。

そのため、この問いはどうやってとか、何がそれを黒くしているのかについて知っていることが前提である場合があります。したがって、やや高度な問いであると言えるかもしれません。それでも、この関係を知っていると、逆にいつそれが起こっているかを観察すると、どうやってそれが起こっているのかを知るきっかけになったりする可能性もあります。いずれにしても、この問いには答えがあります。
ただし、どのタイミングで起きているのかについて説明することには精度の問題があります。江戸時代ごろと答えるのと、幕府ができてから5年目と答えるのでは、同じ江戸時代を表していたとしても、精度の違いがありますし、時代のはじめの方と終わりの方では時代背景も全く違いますね。同じように、物事が起きている初めのころなのか、終わりのころなのかでは、答えの意味が変わってくるということもあります。
ステップ5
これまでに問われたことのある問いを問うこと
ここまでくると、あなたも問いのエキスパートです
問いを考えることが日常的にできるようになると、次はどうしたらレベルの高い問いが作れるのかと考える機会もあるでしょう
「もっと良い問いがつくりたい」
と考えられるようになったら、このPracticeで学ぶべきことは習得できたようなものです
さて、それではQ:レベルの高い問いはどこにあるのでしょうか?
その答えは、「先人の探究の中に」というのが答えと言えるでしょう
過去の人々は、恐らくあなたの考えている数倍、いや数十倍、いや数百倍は賢く、優秀で、執念深く、同じようなことを考え続けてきています
したがって、今あなたが考えている問いが、オリジナルで、新しく、これまでに誰も考えたことがない問いであることは、非常に稀なことです
そうすると、問いのレベルを上げていくうえで必要なことは、同じ問いを問うたことのある先行事例を探すことです。これによって、先人がどんな問いを持ち、どうやってそれを解決してきたかを知ることができます。そのことがまた、あなたに良い問いを考えさせてくれることにつながるはずです