1-1. 5つの重要なシステムの概念|第1章|地球環境論

5つの重要なシステムの概念

システムは以下5つの要素で記述することができる(MOEA, 2002)。

  • 部分と事象(Parts & Objects)
  • 相互作用と関係性(Interactions & Relationships)
  • サブシステム(Subsystems)
  • インプットとアウトプット(Inputs & Outputs)
  • 時間に伴う変化(Changes Over Time)

 部分と事象は、システムの構成要素でその一部となっている「もの」や「こと」だ。物理的な何かである場合もあるし、何かについたラベルのことでもある。ラベルは文脈によっても異なる。ある人間が、教室で授業をしているときは「教師」であるのと同時に、中学・高校などの同窓会へ顔を出せば「生徒」になったりする。このように,同じ人間であるにも関わらず、異なるシステムに入れば異なるラベルが貼られることもある。
 相互作用と関係性は、部分と事象の間をつなぐ特殊な関わり方に貼られるラベルのことである。例えば、捕食者と被捕食者の間に貼られる「食う、食われるの関係」は有名である。「依存」「補助」「助成」「共助」「従属」「服従」「独立」「制御」「規定」「御恩と奉公」など、考えられる関係性のラベルは数限りない。また,ここでもラベルが重要であるのは,実質的には無限にある部分や事象の振る舞いを,少数の要素に還元して,理解することができるようになるという利点があるからである。このことは,システムとしてものを観る利点を示唆すると同時に,私たちの認知機能の限界を克服する方法でもあることを示唆している。
 サブシステムは、より大きなシステムを構成するシステムであり、それ同士が相互作用しているものである。自然のシステムを見れば、食物網や生息地などがそのサブシステムであり、社会においては信条や団体などがそれにあたる。サブシステムは,別にホロンとも呼ばれ,システムとして理解し,分析する際の一単位と捉えられる。したがって,特に名前のついていなかった集まりに自らラベルを貼ることも,その集まりをサブシステムとして理解するための第一歩である。
 相互作用と関係性は,具体的にシステムから出入りするもの・情報のインプットやアウトプットによって特徴付けられることになる。教え・教えられる関係ではコミュニケーションが重視されるし,品物や資源を売り買いする貿易や,エネルギーの出入りをさせる光合成や呼吸などにも,システムからの出入りを観ることができるだろう。
 最後に,これらのシステムの要素は,時間に伴って変化している。システムの部分や事象,インプットやアウトプットが時間に伴って変化することは,記録をとることで明示できるが,部分同士の関係性の変化やあるいは,システム自体が時間に伴ってどう変化しているのかを捉えるためには,徹底したデータ分析と,視覚化を必要とする。そのような観察システム自体をくみ上げることが難しいこともあり,十分な分析ができていないシステムも多いのが実情である。

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