教育研究の研究方法論

 研究方法論(Methodology)は、論文の方法部分の前に置かれる。あの何を書いてあるかよくわからない部分の一つです。字面から見受けられるように、方法(Method-)についての、理論(-logy)です。

このページは、今から研究を始めましょうという段階の方に、全体像を眺めながら、ご自分の研究を完了させるまでのA to Zをお伝えしようというものです。

初めての方には幾らか面倒な流れもあるやに思われますが、時間があるときには、ぜひイチからご一読頂ければと思います。

基本的な流れは
 目的→方法→結果→考察
 なのですが、教育研究については、(他の分野でもそうでしょうが)必ずしも(研究の)目的からスタートしません。何故なら、教育現場は常に毎日のニーズに基づいて動いていて、研究する側の都合で動いている訳ではないからです。同じことは管理者と現場スタッフに一般化して捉えても構いません。ですから、以下に示す流れは、そのどこから始めることになっても構いません。

1.何を知りたいのか

 現時点では何を知りたいのかも分からないかも知れませんが、何らかの知りたいこと(疑問)や課題に答えるのが研究の役目である以上、それが何なのかがはっきりしないことには、研究は始められても、それをまとめることができません。
 また、ここでどんな問いを持つかによって、そのあとでどんな調べ方をするのかが、変わってきますから、重要なパートです。ちなみに、この問いと調べ方の関係があることで、この順番が逆になってしまっても、ある意味で問題ありません。
 何かよく分からないけど、とりあえず調べてみたら、結果的に何らかの問いに答えている事になったというまとめ方でも整合性が取れているなら、それで良いのです。ある方法で調べを進めておいて、まとめる段階で適切な問いを付ける。それで構いません。
 しかしなが、後々調査をやり直すということが難しいところで、適当にやってしまい、適切でない方法でデータを取ってしまっていると、取り返しがつきません。ですから、ある方法を用いるなら、その方法がこれまで用いられてきたお作法をよく調べてから、手をつける方が好ましい事は、言うまでもありません。あなたの知りたいことを既に扱ったことのある研究がないかを調べることは,その役に立つでしょう。

 ここでは、大体どういう種類の問いなら、これまでに用いられてきた方法が活かせるのかという視点で、大枠を示そうと思います。

何が起きているか What is happening

 教育研究において、特に重要である問いは、この「何が起きているか」に関するものです。何故なら、毎日の教室では違う現象が起きているはずだからです。しかしながら、それがこれまでにも(学問的に)知られている現象なのか、或いはここでしか起きていないのかは、調べてみなければ分かりません。しかし、教育を提供する側が、これまでとは違う事をやっているとして、違う現象が起こらないとも限らない訳ですから、「〇〇という文脈において、児童生徒(教師)は、どんな事を学ぶのか」というような問いは、そこで問われる可能性のある問いと言えるでしょう。

どんな効果があったか(what kinds)

 また、似たような問いですが、「〇〇という活動の結果、どんな効果があったのか」というのも、問われる可能性があります。既に分かっている効果を期待される教育活動もありますが、まだ知られていない効果があり得ると前提する場合、探索的にこの問いに答えても良いでしょう(結果、知られている効果が見つかる事の方が多いかも知れませんが)。

その効果の機序はどうなっているか(How it happens)

 次にあり得る問いは、効果のメカニズムに着目するものです。教育活動の結果、ある変数が変えられる事で、別の変数に影響があったり、伴って変わるとすれば、それは教育効果に関するメカニズムがある事になります。この問いは中々に難しくて、「計算の結果、そのようになる」ことは、よくありますが、後々改めてデータを取ってみると、再現しないという事はありがちなことです。とはいえ、一研究、一研究が結果を積み重ねていく事は、将来のブレークスルーには大事な事ですから、過度な一般化を避けたまとめをしているのであれば、ここでの知見の正否は、そこまで問題ではありません(逆に上手くいかなかった証拠として、残る事にも意味があるとも言えましょう)。

教育的介入には効果があったか(IF)

 最後に、そもそも「Aという教育活動を提供したとして、それには効果がある(あった)のか」という問いが考えられます。こちらの問いは、お薬の効果はあるのかと同じように、教育活動を一種の治療薬や治療法と同じように見て、その効果を確かめるものということになります。
 その他、これ以外にも考えられる問いはある訳ですが、以下を説明するのに、これくらいでまずは進めてみましょう。

2.どうやって知るか

 次に、先に挙げた問いにどう答えるか、問いの答えを知る方法を考えてみましょう。
 先にも述べたように、問いの答えを知る方法は、問いと対応している必要があります。逆に言えば、選んだ方法によって、答えられる問いが変わってしまいます。したがって、途中で方法を変えることにしたならば、或いは問いをも変える必要があるかもしれません。しかし、それで良いのです。最終的に、整合する問いと方法のセットになっていればよいとお考え下さい。
 以下、幾つかの方法を先の問いに対応して示しますが、方法には大きく分けて、質的な方法(Qualitative Approaches)と、量的な方法(Quantitative Approaches)とがあります。質とは数字で表せない何かな訳ですが、扱うデータとして文字(記述やインタビュー内容)や描画、或いは立体物もあり得るでしょうか。量は一方で数字をデータとして扱うか、或いは質的な何かでも量データとして扱えるようにしたものを扱う方法です。
 最近ではまた、質と量の両面から問いに答えようとする、混合研究法というのも、当たり前になってきました。この方法の場合、質や量の片方だけでは答えきれなかった問いに答えるということになります。
 以下、それぞれについて、先の問いと併せて扱う事にしましょう。

何が起きているか

 この問いに答えるのが得意なのは、質的な方法です。どんな種類のことが起きているかに答えるには、場にあるカード全てを網羅しており、かつそれを適切に類型化する必要があります。量的な方法でも「因子」を見つけようとして、網羅的なアンケートをつくり、その中から因子を見出していく方法がありますが、最終的に効いている軸が何であるかを定義づける部分で、主観的な判断をしがちです。また、軸に載ってこなかった要素がある範囲で無視されます。もし、質的な方法で軸を洗い出す段階が先立てるようなら、この問題はいくらか軽減できます。その意味で、混合研究法には価値がある訳です。
 ここでは質的な方法、量的な方法をそれぞれ具体的に示しましょう。

以下,工事中です

質的に答えてみる

量的に答えてみる

その効果の機序はどうなっているか

この問いに答えるには

教育的介入には効果があったか

何が分かるのか

何も分からなかったらどうするか

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